タイポグラフィの二つの定義
タイポグラフィには、大きく分けて「見せる」タイポグラフィと「伝える」タイポグラフィの二つの側面があります。
「見せる」タイポグラフィ
「見せる」タイポグラフィとは、文字そのものを装飾すること、または文字をデザイン要素の一つとして捉えるアート表現を指します。
例えば、文字を使ったアート作品やグラフィティなどが挙げられます。
「伝える」タイポグラフィ
一方で、「伝える」タイポグラフィは、文字や文章を読みやすく、効果的に見せるための情報伝達の技術を指します。
具体例を挙げて解説していきます。この名刺を見てください。
一見、普通の名刺ですよね。
しかし、この名刺からは「朝日山さんは公認会計士で、事務所は渋谷にある」という情報がしっかりと伝わります。
では、この名刺はどうでしょうか。
これを見た人は「朝日山さんというお相撲さん?」と誤解するかもしれません。
実際には「相撲」という文字はどこにもありません。
ですが、文字のデザインが「お相撲さんの名刺」という印象を与えてしまいます。
さらに、この名刺はどうでしょうか。
意味が伝わりにくく、何を伝えたいのかが不明瞭です。
結果として、会計士としての信頼まで損なわれてしまう恐れがあります。
3枚の名刺の文字情報は、全く同じです。
同じ文字情報でも、デザインがかわるだけでこんなにも印象が変わってしまうのです。
文字の大きさや書体、フォントが変わるだけで、伝わるイメージは大きく変わります。フォントの選択によって、意図した情報を間違えて伝えてしまうことのないよう、慎重に選ばなければなりません。
デザインとは単なる装飾ではなく、正しい情報を正しく伝えるための手法なのです。
タイポグラフィの重要性
タイポグラフィは、単なる文字の装飾ではなく、情報を効果的に伝える重要な手法であり、技術です。
同じ情報でもフォントやデザインによって受け取り手の印象は大きく変わります。
正しいデザインが、意図したメッセージを明確に伝える鍵となるのです。
デザイン初心者の方に向けたタイポグラフィやフォントに関する解説を、動画でも行っています。こちらのリンクからアクセスしてください。