有名ブランドのロゴの秘密:デザインに隠されたフォントの歴史

皆さんは、有名ブランドのロゴがどのようにして生まれたのか、考えたことはありますか?
世界的に知られる有名ブランドのロゴマークの多くは、ベースとなるフォントが存在します。
今回は、それらのロゴデザインに影響を与えたフォントと、そのフォントの歴史や背景を探っていきます。

ロゴデザインのルーツ

Futuraをベースにしたデザイン

有名ブランドのロゴをいくつか挙げていきます。
まず注目すべきは「ルイ・ヴィトン」、「ドルチェ&ガッバーナ」、「オメガ」のロゴです。

フーツラのロゴ

 

これらは「Futura(フーツラ)」というフォントをベースにデザインされています。

Futura書体見本

Futuraはラテン語で「未来」という意味。幾何学的な形状に基づいた機能美を追求したフォントで、モダニズムデザインの代表的な書体として知られています。

「FedEx」、「Supreme」、「Volkswagen」など、多くの有名ロゴで使用されている、非常に人気のある定番フォントです。

Didotをベースにしたデザイン

次は、「VOGUE(ヴォーグ)」、「ハーパーズ・バザー」、「ZARA」のロゴ。

ディドのロゴ

ファッション系ブランドのロゴの多くは「Didot(ディド)」というフォントをベースにデザインされています。

Didot書体見本

 

Didotはエレガントな印象を与えるフォントで、女性ファッション誌のロゴにもよく採用されていて、ファッションだけでなく美容業界でもよく使われています。

DINをベースにしたデザイン

次に、日本のロゴに目を向けて、「ユニクロ」の英語ロゴと「TOKYO 2020(東京オリンピック)」のロゴを見てみます。

ディンのロゴ

 

この2つのロゴは「DIN(ディン)」をベースにデザインされています。

DIN書体見本

DINは機能性と読みやすさを重視したデザインのフォントで、ドイツでは道路標識やマンホールのふたにも使われています。
現代的で少し柔らかいフォルムを持っていて、世界的に人気のあるフォントです。

このように有名ブランドのロゴは、既存のフォントをベースにデザインされている場合が多いのですが、フォントをそのまま使用しているわけではありません
線の太さや文字の間隔などを細部まで調整して、ロゴに仕上げています。

ロゴタイプデザインの背景

では、有名ブランドのロゴが既存のフォントをベースにしている理由は何でしょうか。
それは「文字の歴史にあやかっている」からです。
英文(アルファベット)は、古代ローマの神殿や石碑に刻まれた文字が起源となっています。

パンテオン神殿
ローマのパンテオン神殿

15世紀から現代に至るまで、文字のデザインは時代の流れに沿って変化してきましたが、重要な点は、これらの文字が時代の変遷を経て「現代でも使われ続けている」ことです。

例えば「Didot」は18世紀に誕生した書体で、「Futura」は19世紀前半に作られましたが、今日まで広く使用されています。

フォントの変遷

 

長い歴史を持ち、伝統に裏打ちされた書体は、時代の変化に耐えうる「耐久性」と「持続性」を持ち合わせています。

この耐久性と持続性は、ブランドにとって重要な価値を持ち、信頼性と認知度の向上に貢献します。

長年にわたり磨かれ、信頼を得てきたフォントを使用することで、ブランドはその歴史性と権威を借りることができるわけです。

デザイナーの役割

では、そのようなフォントを使う場合のデザイナーの仕事は何でしょうか。それは、フォントが持つ「意味」を理解し、適切なフォントを選ぶことです。

フォント自体が持つ雰囲気やニュアンスを読み取り、ブランドのメッセージに合ったフォントを選ぶ能力が求められます。

それぞれのフォントが持つ歴史や特徴を理解し、フォントを見る「目」を養うことで、より豊かなデザインが可能になります。

デザイナーは単に美しいものを作るだけでなく、ブランドのストーリーをフォント選択を通して語る役割も持っています。

デザインの背後にある深い意味を理解し、それを形にすることが重要です。


デザイン初心者の方に向けたタイポグラフィやフォントに関する解説を、動画でも行っています。こちらのリンクからアクセスしてください。

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