デザイン理論とは、一言でいうと「デザインの方程式」のようなもので、「デザインを見た人がどのように感じ、反応するか」を体系的にまとめたものです。
「デザイン理論を学ぶ」ということは、「デザインの基礎を学ぶ」のと同じことを意味します。
デザイン理論を学ぶことで、自分のセンスや感覚に頼らずにデザインを進めることができるようになり、自分のセンスや感覚自体が「デザイン的に正しい考え方」になり、意識しなくても自然と良いデザインになり、デザインが上達するわけです。
デザインの4つの要素
グラフィックデザインによるすべての制作物は、次の4つ要素で構成されています。
・タイポグラフィ(Typography)
・レイアウト(Layout)
・カラー(Color)
例えばこのデザインの場合も4つの要素で構成されています。
他のデザインも見てみます。
このデザインの場合は、ビジュアルは女性と商品の写真、飾りのまる囲みとケイ線。
タイポグラフィはテキストの部分、レイアウトはそれらの配置、カラーはピンクだけという構造です。
このように、グラフィックデザインは、「ビジュアル」「タイポグラフィ」「レイアウト」「カラー」の4つの要素で構成されています。
この4つの要素のバランスをとって「コントロール」するのが「デザイン」という作業です。
何が良いデザインなのか?
実際に、私たちがデザインをするとなると、ビジュアルが変わるとまったく違うデザインになり、タイポグラフィで違うフォントを使うと、違った印象になります。
レイアウトも同じで、違うレイアウトにすると違った印象になって、カラーを変えても違う印象のデザインになります。
デザインのパターンは、いくらでも、それこそ無限に存在します。
こうなってしまうと、一体どれが正解で、何が良いデザインなのか、迷ってしまいますよね。
「デザインに正解はない」と言ってしまえばそれまでですが、一体どうしたら良いデザインになるのでしょうか。そこで役に立つのが、「デザイン理論」です。
良いデザインには「理論的根拠」がある
デザインには、見た目だけでなく「なぜ、このデザインなのか」という理由、つまり「根拠」が存在します。
ただ「カッコいいから!」という自分の「センス」や「なんとなく…」という自分の「感覚」だけでデザインしても、そのセンスや感覚が他人とズレていた場合、受け入れてもらえないデザインになってしまいます。
例えば、このデザインを見てください。
極端な例ですが、いわゆる「素人っぽいデザイン」です。
デザインに正解はないとはいえ、これは不正解です。
「センスがない」という基準ではなく、「理論的」に間違っているのです。
このデザインのどこが「デザイン理論」に反しているのかというと、整列、近接、対比、可読性、余白、アイキャッチ、視線誘導、配色など、間違っている部分がたくさんあります。
つまり「デザイン理論」がほどこされていないので、「見た目が悪く、良くないデザイン」になっているのです。
逆に、これらのデザイン理論を理解して、理論的にデザインしていけば、良いデザインを制作できるようになります。
つまり、デザイン理論は、デザインを構成する要素にアプローチして、デザインを正しい方向に導くための手段となり、良いデザインか悪いデザインかを判断する「指標」になるのです。
デザイン初心者の方に向けた「デザイン理論」については、動画でも解説しています。
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