書体とフォントの基礎:和文書体「明朝体」と「ゴシック体」

日本語の文章をデザインする上で非常に重要な要素の一つが「書体」です。
今回の記事では、日本語の代表的な書体である「明朝体」と「ゴシック体」に焦点を当て、それぞれの特徴と適切な使用シーンについて解説していきます。

書体とフォントの違い

まずは、「書体」と「フォント」の違いから理解しましょう。
一般的にこれらの言葉は同じ意味で使用されることが多いですが、正確には異なる概念です。

「書体」とは、文字のデザインや特徴をカテゴリー化したものを指します。
「フォント」は、その書体をデジタル化した「製品名」として使用されることが一般的です。

今回はこの区分をもとに解説を進めます。

和文書体の基本:明朝体とゴシック体

和文書体は主に「明朝体」と「ゴシック体」の二つに大別されます。(※注)
それぞれの書体には多くのフォントが存在し、それらを適切に使い分けることがデザインの質を大きく左右します。

(※注)その他に「筆書体」や「デザイン書体」など様々な種類の書体がありますが、今回は「明朝体」と「ゴシック体」の2つに絞って解説していきます。

明朝体の特徴

 

「明朝体」は、文字の縦の線が太く横の線が細いのが特徴です。
筆で書かれた文字が原型となっており、筆の抑揚を表現するための「うろこ」や「はね」「はらい」といった装飾が特徴で、文字に動きと美しさが表現されています。

そして、明朝体は可読性が高く、読みやすい書体です。
線の太さに強弱があるので、文字の形を判別しやすく、読んでいて疲れを感じにくい、というのがその理由です。
その特性から小説など、長文の書籍に多く使用されます。また、静かで伝統的なイメージが求められる文書にも最適です。

ゴシック体の特徴

 

「ゴシック体」は、縦横の線がほぼ均一で直線的な印象が強く、視認性が高いという特徴があります。
ポスターや広告、タイトルなど、一目で情報を伝えたい場面で非常に効果的です。
モダンなデザインにもよく合い、現代的な印象を与えるために広く使用されています。

使用シーンに応じた書体の選択

書体を選ぶ際は、その書体が与える印象を考慮することが重要です。
また、書体の太さによっても印象が変わってきます。

明朝体が与える印象

 

繊細で優雅な雰囲気を持つ明朝体は、日本文化や伝統、高級感を連想させる書体です。
細い明朝体は、繊細で上品なイメージを持ち、女性らしい印象を与えます。
一方、太い明朝体は厳格、男性的、堅い、といった印象を与えます。

ゴシック体が与える印象

 

ゴシック体は親しみやすさ、カジュアル、安定感、そして力強さを感じさせる書体です。

細めのゴシック体は洗練されたモダンで都会的、繊細な印象を与えますが、太めのゴシック体は力強い、元気、重厚、といった男性的な印象を与えるようになります。


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